編集後記集
【メルマガIDN 第082号】
■オーディオ三昧:(その1)アナログ時代の装置が活躍している【NO82・050901】
何時の頃からか、コンサートに行くことやレコード(後にCD)を買うことに変わったが、ずっと若い頃はオーディオに興味を持ち、道具にも凝っていた時期があった。オーディオについては天井知らずの世界であり、あくまでも身の程にあったレベルのお話である。1966年頃にスピーカー(今も使っている)を買ったいきさつと、引越しでスピーカーの本体の一個を壊し、イギリスへ出張したときに、「ロンドンの秋葉原」へGOODMANを買いに言った話は、以前にメルマガIDNに連載した「龍のコンサート三昧(第5回)」に書かせてもらった。(URLを最後に)
現在リビングに陣取っているオーディオ機器はいずれも骨董品の部類であり、いずれも高級品ではない。メインアンプは、ラックスのキッドA3500。知人のOさんが組み立てたもので、パソコンの自作に興味が移ったと言って譲ってくれた。夏場に聴いていると、真空管の熱が心配になる。長期間なじんだ山水のプリメインアンプ AU-111(1966年購入)は天袋の奥にあり、メインアンプ部はまだ健在のはずである。山水は経営的に苦しくなったが、千葉の担当の方は親切で、長期間アンプのメンテナンスをやってくれた。しかし、プリアンプ部の異常について相談にいったら、もう勘弁してくださいといわれ、AU-111はプリメインアンプとしてはリタイヤーすることになった。
この時期にOさんが譲ってくれたラックスA3500が我が家で定位置を占めている。山水のほうが馬力はあるが、ラックスのほうが音のヌケがいい。つい最近、山水のAU-111は復刻されて発売になったが、値段を見てびっくりした。
CDプレーヤーはヤマハのCD-2000W(1985年購入)。このプレーヤーの音は透明感があって良いが、メカにやや神経質なところがあり、CDの条件によるのかプレーヤーの気分なのか再生時にトラブルがおきるときがある。
テープレコーダーはティアックのV-1RX(1982年購入)。ドルビーB・C・dbx の3つの回路を装備している。何回か修理の手が入っているが健在であり、大衆品としては優れものである。
チューナーは山水のTU-777(1968年購入)が時々鳴っているが、これはアンテナのせいか十分に機能しているとはいえない。
チューナー | テープレコーダー プリアンプ |
VTR(新規) CDプレーヤー |
メインアンプ |
プレーヤー部についてアームはSTAXのUA-3とグレースのG-545Fがあり、カートリッジはフィデリチィ・リサーチのFR-1(MK-2)とシュアーのV15TYPE3が最後まで生き残った。
モーターは、マグネフロートMF-102SB(1966年購入)。ターンテーブルがマグネットで浮かせてあり、重いターンテーブル(2.2Kg)の慣性を保ちながら、マグネットで浮かすことにより軸受けへの荷重の負担を軽減させている。当時では画期的なアイディアを盛り込んだ製品である。発売もとの東京電子機器はテアックに吸収されて、マグネフロート方式を踏襲しながら新しい製品が販売されていた。
プレーヤーのケースは、会社で関係のあった木工会社の知り合いに図面を渡して作ってもらった。モーターを載せるボードとアーム用のボードを切り離すなどのノイズ対策への配慮をした。
秋葉原のテレオンへ行けば、新しいベルト(モーターとターンテーブルを結ぶもの:幅6m/mでエンドレス)を買うことが出来たが、そのうちに販売中止となった。仕方なく「糸」で代替することを試みた。キャプスタン(モーターの軸でベルトを受けるところ)が円筒でなく幅6m/mの中央部の直径が大きく、糸の位置を定めるのに苦労した。また、糸の結び目がキャプスタンを通過するときのノイズを消すことは出来なかった。
当時はよく秋葉原に通ったし、部品ごとにメーカーの研究所や視聴室を訪れ説明を聞き視聴させてもらった。何回も通っているうちに、日本楽器銀座店の視聴室に置いてあったスピーカーを譲ってもらうという僥倖にも恵まれた。
プレーヤーのベルトを買うことが出来なくなってから、音源はすっかりCDに変わってしまった。現在は、CD・テープ・FMチューナーをダイレクトにメインアンプにつないでいる。やはりOさんより譲ってもらったプリアンプC-12をそっくりキッド化したA2021を電源を入れないでスイッチングに使用している。
道具を求めた時期も今では懐かしいが、道具の追求には終わりがなく資金もままならない。ある時期からソフトに転向。レコードを買うこと(そのうちCDに変わった)と、コンサートに行くことにした。そして、それからの時間のほうがずっと長くなった。
最近のお話
2003年5月に行った雫石にあるペンション「フィールドノート」の主人は、深夜に大きい音を出したいためにペンション村の外れの土地を買った。建物の土台も特別仕様にし、自慢のアナログのオーディオ装置が特殊な土台の上に置いてある。私が道具に興味を持っていた時代のものであり、昔を懐かしんで夜おそくまで持参したレコードを聞かせてもらった。
今の秋葉原はすっかり変わってしまった。アドバイザー講座を秋葉原で行っている頃、講座の帰りにオーディオの専門館があるのを見つけた。アナログ専門のフロアーがあり、担当の人と話をしていたら、浦島太郎の心境になった。私の頃の道具は、アナログで録音された音源を再生するための道具であり、現在のデジタルで録音し、デジタル処理をした音源を再生するには適していない、と諭された。しかし、私がよく聞く曲は、アナログ時代のものも多いので「まあいいか」と慰めている。次回は、「究極のアナログプレーヤーを開発した 寺垣 武さんに13年ぶりにお会いした」ことについて。
龍のコンサート三昧 アラカルト