コンサートについては、2008年も基本的には2006年と同じ内容である。2006年はベルリンフィルを聴いてから音楽祭の直前のザルツブルグに寄り、列車で移動して、ウィーンに行った。
ベルリンとウィーンが起点と終点であるが、今回は移動した順序が逆であり、両者の間に訪れたところが異なっている。今回はウィーンを最初に、バスで北上し、プラハ、途中にチェルキー・クロムロフに寄り(コンサートはなし)、ドレスデン、ベルリンへと移動した。
今回のコンサートのあらましは下記の通りである。
●5月18日(日) ウィーンの音楽友協会大ホール(ムジークフェラインザール)
ウィーンフィル演奏会 D.バレンボイムのピアノと指揮
曲目:モーツアルトのピアノ協奏曲第27番 ブルックナーの交響曲第9番
●5月20日(火) プラハのルドルフィヌム(ドボルザークホール)
A.ブレンデルのピアノリサイタル
曲目:ハイドン・モーツアルト・ベートーベン・シューベルトのピアノソナタ
●5月20日(水) プラハのスメタナホール(市民会館)
チェコフィル演奏会 Vn: j.フィッシャー
指揮:C.アルミンク
曲目:ドボルザークのバイオリン協奏曲 マーラーの交響曲第1番
●5月22日(木) ドレスデン国立歌劇場
曲目:フィガロの結婚
指揮:T.ネトピル
●5月24日(木) 会場がフィルハーモニーからヴァルトビューネに変更
ベルリンフィル演奏会 P:M.ポリーニ 指揮:C.アバド
曲目:ベートーベンのピアノ協奏曲第4番 ベルリオーズのテ・デウム
前回も今回もピアニストのA.ブレンデルとM.ポリーニが登場し、今回はD.バレンボイムが加わる。そして《プラハの春音楽祭》への参加、ドレスデンの有名なオペラ座で《フィガロの結婚》を聴くというメニューが前回と異なっている。
前回はU旅行社にお願いして、個人のツアーを組んでもらったが、今回はU旅行社主催の《『プラハ音楽祭』と中欧珠玉の音楽紀行》に参加した。海外でのコンサートに大勢で行くのはわずらわしいとの先入観があったが、同好の人たちが連れ立って行くのも有意義で楽しいことがわかった。
個人の海外旅行では、行きと帰りの空港でのトランジット、たどり着いた空港や駅からホテルのチェックインまでの移動、コンサート会場へのアクセスなど緊張感で常に張り詰めている感がある。しかし、添乗員がついて、行く先々で土地のガイドさんがサポートしてくれると、こんな楽なことはない。
いずれも音楽好きのつわものぞろいであり、自慢話をするわけでもないが、話題には事欠かない。現役時代にNHKでミキサーをやっていたMさんの話は大変面白かった。1975年と1977年にカール・ベームがウィーンフィルと来日したときのテレビの実況中継のミキシングを担当した話などを興味深く聞いた。また、野外音楽場《ヴァルトビューネ》におけるマイクのセッティングやスピーカーの配置についての考え方についても教えてもらった。
今回のコンサートのツアーに行ったら、当面この様な旅行に対する気持ちは封印しようと思っていた。ベルリンのコンサートホール《フィルハーモニー》が火事に見舞われるというアクシデントがあって、演奏会場がヴァルトビューネ(野外音楽場)に変更になったことにより、今回の旅の大きな目的のひとつが実現しなかったことから、また行ってみたいと言う口実が出来たのだが、先のことはわからない。【生部】