編集後記集
【メルマガIDN 第148号 080601】

■編集後記  龍のコンサート三昧2008  再びヨーロッパのコンサートツアーに
 今回紹介するのは《龍のコンサート三昧2006》の続編である。前回の最初には以下のことを書いている。
 海外で最初にコンサートに行ったのは、1973年6月のこと。ロンドンのロイヤル・フェスティバルホールで、ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団を聴いた。以来1989年までの25年間に欧米に仕事や調査に8回会社の出張で出かけ、18回のコンサートに行った。リタイヤーした後、頼まれた仕事の一環としてストックホルム行ったときに、王立オペラ劇場で《ラ・ボエーム》を見た事により、もう1回が追加された。

 リライヤーしてからの数年間は、仕事にかかわることとその他の時間の使い方のバランスを変化させる期間とした。2005年が過ぎた頃から、ウィーンフィルとベルリンフィルを10日間ほどの旅行で聴くチャンスをうかがっていた。2006年に実現し、ウィーンフィルとベルリンフィルなど4回のコンサートを聴くことができ、都合23回海外でのコンサートを経験した。そして、今回の5回が加わることになった。

 ベルリンのコンサートホール《フィルハーモニー》が完成したのを海外雑誌《FORUM 1964-5》で知り、卒業設計に音楽ホールを取り上げて以来、40年余りの念願が前回に叶なったので、当面は行くことはないと思っていた。しかし、U旅行社より送られてきた案内を見て食指が動いた。コンサートのメニューはもちろんであるが、ドレスデンの《ツヴィンガー宮殿》の陶磁器コレクションと、前回見落としたウィーンの王宮の《ミヒャエル門》にあるヘラクレスの彫刻を見ることが出来ることにも魅力を感じた。

 コンサートについては、2008年も基本的には2006年と同じ内容である。2006年はベルリンフィルを聴いてから音楽祭の直前のザルツブルグに寄り、列車で移動して、ウィーンに行った。
 ベルリンとウィーンが起点と終点であるが、今回は移動した順序が逆であり、両者の間に訪れたところが異なっている。今回はウィーンを最初に、バスで北上し、プラハ、途中にチェルキー・クロムロフに寄り(コンサートはなし)、ドレスデン、ベルリンへと移動した。

今回のコンサートのあらましは下記の通りである。
5月18日(日) ウィーンの音楽友協会大ホール(ムジークフェラインザール)
 ウィーンフィル演奏会  D.バレンボイムのピアノと指揮 
 曲目:モーツアルトのピアノ協奏曲第27番 ブルックナーの交響曲第9番
5月20日(火) プラハのルドルフィヌム(ドボルザークホール)
 A.ブレンデルのピアノリサイタル
 曲目:ハイドン・モーツアルト・ベートーベン・シューベルトのピアノソナタ
5月20日(水) プラハのスメタナホール(市民会館)
 チェコフィル演奏会 Vn: j.フィッシャー   指揮:C.アルミンク
 曲目:ドボルザークのバイオリン協奏曲 マーラーの交響曲第1番
5月22日(木) ドレスデン国立歌劇場
 曲目:フィガロの結婚
 指揮:T.ネトピル
5月24日(木) 会場がフィルハーモニーからヴァルトビューネに変更
 ベルリンフィル演奏会  P:M.ポリーニ 指揮:C.アバド 
 曲目:ベートーベンのピアノ協奏曲第4番  ベルリオーズのテ・デウム

 前回も今回もピアニストのA.ブレンデルとM.ポリーニが登場し、今回はD.バレンボイムが加わる。そして《プラハの春音楽祭》への参加、ドレスデンの有名なオペラ座で《フィガロの結婚》を聴くというメニューが前回と異なっている。

 前回はU旅行社にお願いして、個人のツアーを組んでもらったが、今回はU旅行社主催の《『プラハ音楽祭』と中欧珠玉の音楽紀行》に参加した。海外でのコンサートに大勢で行くのはわずらわしいとの先入観があったが、同好の人たちが連れ立って行くのも有意義で楽しいことがわかった。

 個人の海外旅行では、行きと帰りの空港でのトランジット、たどり着いた空港や駅からホテルのチェックインまでの移動、コンサート会場へのアクセスなど緊張感で常に張り詰めている感がある。しかし、添乗員がついて、行く先々で土地のガイドさんがサポートしてくれると、こんな楽なことはない。
 いずれも音楽好きのつわものぞろいであり、自慢話をするわけでもないが、話題には事欠かない。現役時代にNHKでミキサーをやっていたMさんの話は大変面白かった。1975年と1977年にカール・ベームがウィーンフィルと来日したときのテレビの実況中継のミキシングを担当した話などを興味深く聞いた。また、野外音楽場《ヴァルトビューネ》におけるマイクのセッティングやスピーカーの配置についての考え方についても教えてもらった。

 今回のコンサートのツアーに行ったら、当面この様な旅行に対する気持ちは封印しようと思っていた。ベルリンのコンサートホール《フィルハーモニー》が火事に見舞われるというアクシデントがあって、演奏会場がヴァルトビューネ(野外音楽場)に変更になったことにより、今回の旅の大きな目的のひとつが実現しなかったことから、また行ってみたいと言う口実が出来たのだが、先のことはわからない。【生部】

編集後記の目次へ
龍のコンサート三昧2008目次へ
龍と龍水のTOPへ