編集後記 《東方神青龍》は東方と春を守護する霊獣
仏画色紙《東方神青龍》 |
浅草の仲見世通りの三美堂で龍の絵が描かれている色紙見つけて買い求めた。この色紙は、仏画色紙《東方神青龍》という。
色紙に付属していた栞に、「四神のひとつとして東方と春を守護する霊獣です。四神を配した地は風水では最良の地とされています。邪気を遮断し、福禄・無病・長寿を呼び込むとされています。」と書かれている。
風水や縁起にはあまり興味はないが、四神とは何だろうという興味から、雑学の虫が蠢きだした。
四神の信仰と東方神青龍
四神の信仰は古代中国で誕生し日本へ伝えられた。北は玄武(亀と蛇)、東は青龍、南は朱雀(鳥)、西は白虎という神獣がそれぞれ鎮護するというもの。
東を鎮護する青龍《東方神青龍》については、中国の伝説上の神獣で蒼龍ともいい、長い舌を出した龍の形とされる。青は五行説では東方の色とされる。また青龍の季節は春とされている。
このようなことを調べているうちに、高松塚古墳のことを思い出した。
高松塚古墳における四神の信仰
高松塚古墳の石室は凝灰岩の切石を組み立てたもので、南側に墓道があり、南北方向に長い平面の形状をしている。
石室の寸法は長辺(南北)の長さが約265cm、短辺(東西)の幅が約103cm、高さが約113cm(いずれも内法寸法)であり、平面形状は三畳間に近い。
四神のマグネット |
東の青龍 |
壁画は石室の東壁・西壁・北壁・天井の4面に存在しており、切石の上に厚さ数ミリの漆喰を塗った上に描かれている。壁画の題材は星辰(星宿)図,日月像及び四神図,人物群像(女子群像、男子群像)など。
東壁:手前から男子群像、四神のうちの青龍とその上の日(太陽)、女子群像
北壁:四神のうちの玄武
西壁:手前から男子群像、四神のうちの白虎とその上の月、女子群像
南壁:四神のうち南方に位置する朱雀が描かれていた可能性が高い
天井には、星辰が描かれている。円形の金箔で星を表し、星と星の間を朱の線でつないで星座を表したもの。中央には北極五星と四鋪四星(しほしせい)からなる紫微垣(しびえん)、その周囲には二十八宿を表している。
中央の紫微垣は天帝の居所を意味しており、高松塚古墳は天帝が四神に守られて眠っているところであり、四神の信仰が守られている。
二十八宿については省略します。
こちらをご覧ください。
四神のマグネット
《四神》に関する私の手持ちの例として、横浜ユーラシア文化館で販売されたマグネットを紹介する。写真に示すものは、直径:3.2cmほどの小さいものである。四神については、「四神~四の方角を護る神獣~」と紹介されている。東の青龍のところには、「互いの尾を銜えながら向き合う2匹の龍。陰陽の調和を表す構図です。龍の出現はめでたいしるし(瑞祥)として漢代に盛んに記録されました。」と説明が書かれている。
平安京は四神相応の都
桓武天皇は、延暦13年(794)、長岡京から平安京へと都を遷したが、遷都にあたって、中国の古典に詳しい学者を集めて四神相応の最適な地を探させた。この地が四神相応の「平安楽土」とみなされたことが、平安遷都の理由のひとつだった。
一般に四神相応の地とされているのは、東に清き流れがあるのを《蒼(青)龍》、南が広く開けた湿地帯であるのを《朱雀》、西に大きな道が続くのを《白虎》、北に高くそびえる山があるのを《玄武》とされている。
京都では《蒼龍》が賀茂川、《朱雀》は干拓されて今は無き巨掠池、《白虎》は山陽道(もしくは山陰道)、《玄武》は舟岡山とされている。
平安神宮は平安遷都1100年を記念して、明治28年に第50代桓武天皇をご祭神として創建された。平安神宮は、四神信仰とゆかりが深いものといえる。
方位 |
四神 |
地勢 |
一日 |
季節 |
色 |
平安京 |
江戸城 |
東 |
青龍 |
流水 |
朝 |
春 |
青 |
東の縁を流れる賀茂川 |
清流の平川や大川(隅田川) |
南 |
朱雀 |
湖沼 |
昼 |
夏 |
赤 |
干拓されて今は無き巨掠池 |
大海原の江戸湾 |
西 |
白虎 |
大道 |
暮 |
秋 |
白 |
山陽道(もしくは山陰道) |
大地のつらなりのある多摩丘陵 |
北 |
玄武 |
丘陵 |
夜 |
冬 |
黒 |
一般的には舟岡山 |
本郷白山より、遠くは日光連山 |
北東 |
(表鬼門) |
- |
- |
- |
- |
比叡山延暦寺・日吉大社 |
東叡山寛永寺・金龍山浅草寺
|
西南 |
(裏鬼門) |
- |
- |
- |
- |
広隆寺・松尾大社 |
芝増上寺 |
平安神宮の手水所の蒼龍と白虎
平安神宮の大鳥居をくぐって、應天門(神門)を抜けると左右に手水所がある。大極殿に向かって右側(東側)に蒼龍、左側(西側)に白虎の石の彫刻(吐水口担っているかは不明)がある。
平安神宮の建物の配置において、大極殿の東には《蒼龍楼》、西には《白虎楼》、本殿の東に位置する中神苑の池には《蒼龍池》、西神苑の池には《白虎池》の名前がつけられている。
また、年間の祭事である4月15日の例祭と10月22日の時代祭には境内に四神旗が掲げられる。
平安神宮において、東方は蒼龍に西方は白虎に鎮護されているが、北と南の守りはどのようになっているのかわからない。
手水所(西側) 白虎 |
手水所(東側) 蒼龍 |
バーチャル初詣
見上げなら大鳥居をくぐって、應天門(神門)を抜けて、右前方に歩き、蒼龍の手水所で清め、龍尾壇を上がり、右近の橘と左近の桜を見て、大極殿前で手を合わせる。 バーチャル初詣ですが、09年がいい年となりますように!!
平安神宮の写真については、
こちらをご覧ください
四神と平安神宮については、現地の説明板、およびいくつかのホームページを参考にしました。参考にした個々については省略いたします。
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