Surface RTを使いはじめた
【メルマガIDN編集後記 第266号 130515】

 3月15日に、マイクロソフトより発売された《Surface RT》を購入し使い始めた。購入に際して、Windows8、Windows8 pro、Windows RTを搭載した3タイプのパソコンを調査し、Surface RTを選択した。Windows8やOffice2013に早く触ってみたいという好奇心もあった。今回はあくまでも《私の場合》として、Surface RTを使い始めた状況と感想について述べてみたい。

iPadとつきあい
 iPadが発売された時、私もこのような新しい製品や技術への対応力を高めたい、と考えてiPadを購入して使ってみた。インターネットやメールを利用するためのモバイル用の端末としてタブレットを体験する、会議やIDNの説明のために必要な資料を持ち歩きたい、プレゼンテーションの道具として役に立ちそうというのが、私がiPadに期待した主な役割だった。
 パワーポイントをPDFファイルに変換して、Dropboxにアップロードし、SidebooksiPadにインストールしたアプリ)にダウンロードする。VGAへ変換するためのアダプターコードを使用することでプロジェクターへ接続すれば、あたかもページをめくる様な感覚でパワーポイントをiPadでプレゼンすることが出来る。もちろん、PDFにしたワードやエクセルのファイルを保存し、必要な時に見せることができる。
 会議で必要な資料をコピーして持参しなくてもよくなり、IDNの活動内容などを紹介する場合や、プレゼンテーションを行うことに、iPadを大変重宝に活用した。


Surface RT
タッチスクリーンを取り付け、キックスタンドを広げる
ディスプレイ:10.6インチ(1366×768ドット)
CPU:テグラ3
ストレージ: 64GB  メモリ:2GB
OS:RT
サイズ:幅275×高さ172×厚さ9mm  重量:675g


タブレット
タッチカバーを取りはずした状態
カスタマイズしたデスクトップ画面


革のケースを自作した
横広に自作したiPadのケースには入らなかった


左: Surface RT  右:iPad
液晶画面のサイズはSurfaceが大きい
液晶画面の高さはiPadが12mm大きい
Surface:132mm  iPad:144mm


使い始めの時にお世話になった導入書

iPadからへSurface RT
 iPadを使い始めて、それなりに面白い道具と思いながら、不便を感じることがあった。
 プレゼンテーションのパワーポイントを夜遅くに完成したつもりで、あくる朝電車の中で発表の予習をする。そうすると、あのスライドの内容を少し変更したい、スライドの順番を変えたい、このスライドはなくして時間を節約したい、といった希望が生じてくる。iPadではこの要求に応えてくれない。そんな時にアメリカで発売されたSurface RTに興味を持ち、雑誌の記事などを読んだ。
 間もなくASUSのWindows RT搭載のタブレットタイプを店頭で触ることが出来るようになった。2013年3月14日に開催されたシニアネットフォーラムで、基調講演をされたマイクロソフトの加治佐さんが「Surface RTが明日発売されます」と紹介された。会場に持ち込んだSurface RTを、懇親会場の片隅で触ることが出来た。
 雑誌などでは「中途半端」だとの評価も多かったが、その中途半端が私の目的にあっているのではないかと納得して購入することに踏み切った。

Surface RTを使ってみる
 購入したのは、64GBモデルにタッチカバーが装備されているタイプ。同時にプロジェクターに接続するためのVGAアダプターも購入した。iPadはタブレットそのものであるが、Surface RTはパソコンにもなるタブレットであるというのが、第一印象である。これは予想通り。以下に、いくつかの項目について感想を述べてみたい。

タッチスクリーン
 タッチスクリーンはタブレットとしての当然の仕様である。iPadに比べて動作の滑らかさは劣るのではないかと心配していたが、タッチ、タップ、スワイプ、その他の操作に対して遜色はないように感じている。

タッチ カバー

 超薄型の感圧式キーボードとトラックパッド(厚さ3mm)は、液晶面の保護のためにもなるカバーを兼ねる。初期段階で、自宅のデスクトップにある(持ち運びたい)ファイルをSurfaceのエクスプローラーにコピーするために、タッチカバーにあるキーボードとマウスを多用した。今は液晶画面のタッチキーボードを使うことが多い。
 Surfaceを文書作成などに多用する方には、従来の打鍵感のあるキーボード付のタイプ カバー(厚さ6mm)をお勧めする。

インターネット
 Surface RTには、デスクトップ版のInternet Explorer10(IE10)とWindowsストアアプリ版Internet Explorer(モダンUI版)の2種類が装備されている。デスクトップ版のIE10の操作は従来とあまり変わらないのでなじみやすい。
 ストアアプリ版については、タッチ式によるメリットが生かされ、スワイプでナビゲーションバーやアドレスバーの表示、ピン止めやお気に入りへの追加法などの新しい嗜好が凝らされている。慣れ親しむにしたがって、ストアアプリ版でインターネットを利用することが多くなった。
 なお、各種設定やアドオンの管理についてはデスクトップ版で行っている。

メール
 購入時の最も逡巡したことのひとつが、POP (Post Office Protocol) を使用する電子メールアカウントの追加がサポートされていないことだった。
 日常使用しているOCNメールが使用することができないので、gmailのアカウントを取得し、Surfaceにこのアカウントを設定し、OCNで受信したメールをSurfaceへ転送するようにした。
 なお、OCNメール(Windows Liveメール)で使用しているアドレス帳が、形状は異なっているがSurfaceでも使用できた。これは、Microsoftアカウントの登録により、peopleというアプリがなせる便利な業。アドレス帳の移管に関する面倒な手間を省くことが出来て助かった。

Office 2013 RT
 Surface RTには、Office 2013 RT(Word」・Excel」・Power Point・OneNoteの4本を収録)がプレインストールされている。Office 2013に比べると、アドインなどの機能がいくつか制限されていると言われているが、私のSurface利用においては問題はない。Office 2013を新たに購入することなく、その主要な部分を使うことができるのは大きなメリットである。
 Officeの操作において、タッチ/マウスモードの切り替えで《タッチ》を選択すれば、コマンドボタンなどの間隔が拡がり、タッチによる誤操作が少なくなるのはありがたい機能である。


スカイドライブによるフォルダとファイルの共有
 自宅のデスクトップPCにある資料(ファイル)を持ち歩くのがSurfaceに期待することのひとつ。必要なファイルをSkyDriveデスクトップ・アプリのフォルダにドラッグ・アンド・ドロップし、SurfaceSkyDriveで同期する。
 Surface側では、SkyDriveアプリとIE10SkyDriveを使い分けている。ファイルの《共有》や自宅のデスクトップPCとの同期には、IE10SkyDriveを利用し、出先で《編集後記》の原稿の続きを書くことなど、こまごまとしたファイルはそのままSkyDriveアプリより利用する。
 オフライン状態でも使用したいファイルやサイズ的にダウンロードに時間を要するファイルは、フルサイズ USB 2.0 ポートを利用して、RTのデスクトップにあるエクスプローラーに保存している。通常のPCと同じ扱いができ、容量の大きいプレゼン用のパワーポイントのファイルなどを素早く開くことが出来る。

外部出力とプレゼンテーション
 Surfaceテレビ、モニター、またはプロジェクターに接続するには、 HD ビデオ出力ポートにビデオ・アダプターを使用して接続する。最近制作したDigiBookの《ムービースタイル編》をテレビの大画面に接続して見ている。
 パワーポイントによるプレゼンテーションにおいて、Surfaceの画面では、投影しているスライドの右側に、次のスライドやノートが表示される。これは便利で、これまでになかった体験である。

エピローグ:Surface RTできることと出来ないこと
 Surface RTの仕様には、音声入力、手書き入力、フロントとリアの2つのカメラ、デュアルマイク、microSDXC カード スロットなどもあり、使いこなすのはこれからである。
 Surface RTには従来のウィンドウズ向けソフトをインストールできない、標準インストールされているOffice 2013 RTでは、マクロやアドインは使えないといった機能制限もある。また、競合するタブレットに比較して、ウィンドウズ・ストア・アプリの数が少ないとも言われている。マイクロソフトのホームページに、Surface RTOffice 2013 RTで出来ないことが開示してあるので、詳細はこちらでご覧いただきたい。
 Surface RTが手元に来て一カ月ほど経った。外出時には持ち歩いているが、私の利用目的としては、iPadを越えるところがあり、《できないこと》としての不満は今のところない。

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