江東の地に四神が降り立つ
【メルマガIDN編集後記 第327号 151201】

 メルマガIDNの編集後記に「松戸神社の神幸祭の四神」を書いたら、江東区(東京都)に四神があるのを教えてくれた方があり、調べてみた。今年(2015年)の9月に白虎が設置され、四神がそろったとの紹介があり、早速見に行った。
 辰年(2000年)が迫った前の年の年末に、私のホームページ「龍の謂れとかたち」で紹介している龍の写真を年賀状に使いたいので了解を得たいというメールをくれた人があった。その方が、私がいつも利用している地下鉄の東大島の駅前に龍がいます、と教えてくださった。今回、東大島の龍は江東の地に降り立った「青龍」であることが分かった。


江東の地の東方を守護する青龍(全景)  東大島駅前


江東の地の東方を守護する青龍


江東の地の南方を守護する朱雀  区立若洲公園


江東の地の西方を守護する白虎  豊洲シビックセンター


江東の地の北方を守護する玄武(はね亀) 亀戸駅前

四神相応 四神が司る
 風水の四神相応の地とされているのは、背後に山、前方に海・湖沼・河川の湿地帯が配置されている背山臨水の地を、東に清き流れがあり、西に大きな道が続く形態となっている地をいう。

 東に清き流れがあるのを《蒼(青)龍》、南が広く開けた湿地帯であるのを《朱雀》、西に大きな道が続くのを《白虎》、北に高くそびえる山があるのを《玄武》とされている。四神は地勢のほか方位・時・季節・色などを司る。

 青龍:流水・東方・朝・春・青
 朱雀:湖沼・南方・昼・夏・赤
 白虎:大道・西方・暮・秋・白
 玄武:丘陵・北方・夜・冬・黒

江東の地に降り立った四神
 平成4(
1992)年に、亀戸駅前公園を改修した際に、亀のモニュメントを設置し、北の「玄武」に見立てることにして以来、東大島の「青龍」、若洲公園の「朱雀」が設置され、平成27年(2015)9月に豊洲シビックセンター前に白虎のモニュメントが設置されることにより、江東の地に四神がそろった。

 青龍:平成 9年 
1997  (東大島駅前広場 大島9-3-14)
 白虎:平成27年 
2015  (豊洲シビックセンター 豊洲2-2-18)
 朱雀:平成18年 
2006  (若洲公園 若洲3-2-1)
 玄武:平成 4年 
1992  (亀戸駅前公園 亀戸2-21-9)

江東の地の東方を守護する青龍
 都営地下鉄の東大島駅は旧中川を跨ぐようにホームが設けられており、江東区と墨田区の区界にある駅で、区長室が江東区側にあるので、駅そのものも江東区に属しているという珍しい駅である。
 東方を守護する青龍は、東大島駅前の江東区側の広場の整備に際してロータリーに設置された。芝生の中の台座の上の半円形の支持部の上に置かれた龍が右手に持っている龍玉が光り輝いている。

江東の地の南方を守護する朱雀
 区の南部である都立若洲海浜公園内にあったキャンプ場、風車のある多目的広場、サイクル施設等が平成18年(
2006)4月から区に移管され、区立若洲公園となった。また、その年の11月15日に、区への移管を記念して多目的広場の北東の一角に「朱雀」のモニュメントが設置され、若洲の風車(風力発電施設)と並ぶ新たなシンボルとなった。

江東の地の西方を守護する白虎
 豊洲シビックセンターは、人口増加が著しい江東区の南部エリアの行政と文化の拠点として建てられた、特別出張所・文化センター・図書館の複合施設。平成27年(
2015)9月24日に豊洲駅前に開設された。
 同センターには、「現代の里山」をコンセプトに、8階から屋上まで階段状のテラスが設けられ、開設に合わせて1階の入り口の前に白虎のモニュメントが設置された。白虎の白色ではなく、金色の仕上げになっている。

江東の地の北方を守護する玄武
 平成4(1992)年に、亀戸駅前公園を改修した際に、亀のモニュメントを設置し、北の玄武に見立てた。「はね亀」と呼ばれる亀のモニュメント「
HANEKAME’92」は造形作家の松本哲哉の作品で、3匹の羽のついた亀が重なっており、一番大きな亀がお祖父さん、真ん中の亀がお父さん、一番上の亀が子供だそうである。
 三段重ねの亀は噴水の機能も持っており、決まった時間に子亀の背中から水が飛び出す。池と台座は、亀の甲を見立て六角形にデザインされている。

エピローグ
 江東区(東京都)東陽町は、私が社会人となって2年目から26年間過ごした職場があったところ。また、私が数年間過ごした独身寮も東陽町(洲崎の近く)にあった。
 最初にこの地へ行った頃には、まだ地下鉄(東西線)はなく、日本橋から都電で行った。都電が永代橋を越えるときに見える、川向うの少し低くなっている景色は、昨今の北京ほどではないが灰色にかすんでいた。夏の日の夕方、南からの風に乗って夢の島(東京都のごみ処分場)の匂いがきた。この地で生活を初めて間もなく喉を傷めた記憶がある。
 江東の地の南方を守護する朱雀がおかれている広大な若洲海浜公園は、夢の島のさらに南に整備されており、私にとっても隔世の感がある。

 「江東お出かけ情報局 江東の地に四神降り立つ! 中国古代より、天の四方の方角をつかさどるとされる四神が、江東区に降り立ちました!」という案内が
2015年9月25日に江東区のトピックスとしてウェブに掲載された。
 平成4年(
1992)に亀戸に玄武が設置されてから、今年(2015年)豊洲シビックセンターに白虎が設置されるまで23年が経過している。当初から23年先を見通していたかわからないが、4つのモニュメントを四神とした粋な計らいに敬意を表したい。

四神の画像は下記でご覧ください。
 ホームページ《龍の謂れとかたち》
 デジブック(音楽付のスライドショウ)

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