銀座の街並み 2017
【メルマガIDN編集後記 第363号 170601】

 NPO自立化支援ネットワーク(IDN)の正会員で『メルマガIDN』のトップの写真を提供してくださっている村井博美さんが、写真展を開催することになり、初日の2017年4月12日に銀座ニコンサロンに出かけた。
 村井さんに作品の案内をしてもらい会場を辞して後、銀座の表通りを歩いてみた。昨年11月のIDNのふれあい充電講演会でも「江戸銀座400年のルーツをたどる」と題してボランティアガイドさんに案内してもらったが、この日は四丁目交差点を起点に、南(八丁目 新橋方面)、北(一丁目 京橋方面)、西(有楽町方面)、東(築地方面)を歩いた。銀座には、世界の有名ブランドが軒を連ねていることに驚き、日本の老舗たちも頑張っている姿も目についた。
 その日からほぼ一週間後の4月20日に、GINZA SIX(GSIX)がオープンし、そのあと同じルートをたどって、街並みを写真に収めて、DigiBookを制作し公開した。

銀座の歴史
 銀座の地名の由来は、江戸時代に設立された銀貨幣の鋳造所による。銀貨幣の鋳造所は1601年(慶長6年)に京都の伏見に創設されたのが始まり。1606年(慶長11年)より駿府に置かれていた幕府の銀座鋳造所(銀座役所)が、家康により1612年(慶長17年)に江戸に移された。

昭和30年に建てられた銀座発祥の地の碑




銀座プレイス 2016年9月に開業

 1800年に東京の蛎殻町に移転して以来、元の「新両替町」の名称に代わり「銀座」として親しまれるようになり、銀座役所が日本橋に移転されたあともこの地名が定着した。
 二丁目のティファニー銀座ビル前の歩道に、昭和30年に建てられた銀座発祥の地の碑があり、嘗てこの場所に徳川幕府の「銀座」という銀貨を鋳造する役所があり、明治維新を経て「銀座」という町名となったことが説明されている。

銀座の今
<四丁目交差点>
 銀座といえば四丁目交差点が起点となるが、交差点の一角に新しい複合施設「銀座プレイス(GINZA PLACE)」が、2016年9月に開業した。銀座プレイスは地下2階から地上11階で構成され、ソニーや日産自動車のショールームのほか、銀座ライオン、イベントスペース&カフェ「コモン ギンザ」他が入居している。
 銀座プレイスは、サッポロ不動産開発の直営により、日本や銀座の文化と技術を発信する場として展開することを目指している。

<有名ブランドのビジネス>
 銀座の中央通りと晴海通りを歩いていて、世界の有名ブランドの店が多い。視線を店舗から上方に向けると、高層の最上部にブランド名を表示している建物が多い。ティファニー、シャネル、カルティエ、ジョルジオ・アルマーニ、グッチ、フェラガモ、カルティエ、ブルガリ、エルメスなどは、これらの建物を新旗艦店、フラッグシップ店、コンセプトストアなどと称している。
 これらの事実からに、世界の有名ブランドは、銀座に店舗を構えるだけでなく、建物を所有することも含めたビジネス展開をしていると推測する。
 DigiBookを制作過程で有名ブランドのオープン時期を調べてみると、2000年にルイ・ヴィトン松屋銀座店以来、たくさんの有名ブランドの建物やお店がオープンしている。この2~3年の間に、オープン又はリニューアルオープンしている例が多いのに気が付く。

GINZA SIX(GSIX)
 銀座エリア最大の商業施設「GINZA SIX」は2017年4月20日にオープンし、賑わっている。初期の都市計画と建物の外観設計を手掛けたのは建築家の谷口吉生で、道路を挟んだ街区を一体開発し、地下4階から地上13階建の大規模な複合施設が誕生した。
 ここには、世界の一流ブランドから国内の伝統工芸まで241ブランドが集結し、屋上庭園、能楽堂、ツーリストサービスセンター、パブリックアート、オフィスなどを備えている。

 GINZA SIXのデザインのコンセプトは「変わる部分と変わらない部分の共存」。上階のオフィス階にはステンレスの「ひさし」を設け、水平な統一性を表現し、ここは変わらない部分との位置づけ。
 下層階の商業空間は「のれん」と位置づけ、横方向に建物を6ブランド用に分節化し、時代の変化や流行に従って、店舗の外観やデザインを変えられるように計画している。
 GINZA SIXの正面に位置している6ブランドは向かって左から、フェンディ、ヴァレンチノ、ヴァンクリーフ&アーペル、サンローラン、セリーヌ、ディオールの順に並んでいる。


GINZA SIX 正面  6つのブランド用に分節化された「のれん」

中央通りと晴海通りを歩く
<南(八丁目 新橋方面)>
 四丁目の交差点を出発し、プラダ銀座店を過ぎて、GINZA SIXの前を通り、銀座天國のところで道路を渡り、博品館の前より四丁目の交差点に向かう。ライオン、ヤマハ、天国、博品館、資生堂、鳩居堂など日本の有名店が存在感を示している。また、七丁目付近には間口の狭い店舗も多い。DigiBookでは、18の建物を紹介。

 
ブルガリとエルメスの旗艦店


ルイ・ヴィトン松屋銀座店



<北(一丁目 京橋方面)>
 四丁目の交差点の三越前より松屋の前を通り、銀座発祥の地の碑を確認し、一丁目まで行って道路を渡り折り返す。DigiBook用の写真として、有名ブランドの建物の最上部までフレーミングするのに腐心しながら撮影し、24の建物を紹介。

<西(有楽町方面)>
 四丁目の交差点にある服部時計店の前から晴海通りを有楽町方面へ向かう。この通りにも、グッチ、バリー、エルメス、コーチ、アルマーニ、ディオールなどが軒を連ねており、7の建物を紹介。
 ソニービルは建て替えのため、2017年3月31日に閉館し、2018年夏に「銀座ソニーパーク」としてオープンする予定であるが、まだ往時の姿をとどめていた。

<東(築地方面)>
 築地方面で晴海通りに面しているめぼしいものは歌舞伎座。歌舞伎座は1889年(明治22)に開場、2014年にオープンした現在の歌舞伎座は5代目のものである。4代目の歌舞伎座は劇場とオフィス棟を併せ持つ複合建物に建て替えられ、株式会社歌舞伎座が劇場を所有している。

エピローグ
 昔通った夜の銀座、銀座エリアの歴史と文化財、路地を一歩踏み込んだ時の銀座の異次元の世界、伝統を守る職人たち、奥野ビルに代表される古い建築など、銀座の魅力は尽きないものがある。

 今回DigiBookで紹介したのは、銀座の中央通りと晴海通りの街並みであり、いわば表の顔のみである。2020年のオリンピックの年に銀座の街並みがどのように変わっているか見てみたい。こんな思いもあって、銀座の今を記録にとどめた。
 これからの日本と銀座は、今見るこれだけのポテンシャルを維持してゆく底力があるだろうか。日本に進出した世界の有名ブランドの数々が銀座を彩る時代が末永く続くことを願ってやまない。
【生部 圭助】

参考とした文献:『GINZA SIX magazine Our Story Begins April 20 2017』 ほか


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