写真の楽しみ~デジブックによる銀塩とデジタルの融合~
写真の楽しみ方は多岐にわたるようになってきた。デジカメで撮った写真をパソコンの中で見て、プリントするだけでなく、インターネットを通じ、クラウドを利用することで、デジタルならではの楽しみ方をするサービスも増えてきた。 2011年に、デジブック社がサービスしている《デジブック》を教わる機会があり、《ブック編》を制作し、ハードカバー付の上製本にしてもらった。2013年になって、5つの《ムービースタイル編》の作品を制作した。『ニューヨーク空中散歩』では、30年も前に撮影した写真が今によみがえり、銀塩時代の写真とデジタルが融合するという面白い体験もした。
私が初めてカメラに興味を持ったのは、いとこが持っていたキャノンのD型やL型に触らせてもらった中学生の頃のこと。その何年か後のある日、我が家にアサヒフレックスがやってきた。一眼レフカメラのはしりであり、ミラーを開いて上から覗くもの。その後、アサヒペンタックスが発売され、ミノルタSRも出て、ニコンFが昭和34年に発売された。私がこのカメラを購入したのがそれから4年後の学生時代のことである。以来、仕事に趣味に一度の故障もなく伴侶として仲良くこれまで過ごしてきた。 時代の流れには逆らえず、2004年にミノルタのコンパクトデジカメを買った。ある人に「白の出はこのカメラが一番いい」と言われて選択した。そして今はニコンの一眼レフデジカメの2台目が、私のホームページ作成にはなくてはならない役目を担っている。 でも、ニコンFにはまだ出番があった。浅草寺本堂(観音堂)の外陣にある川端龍子の龍の天井絵の撮影に28ミリのレンズとストロボを装着して役割を果たしてくれた。なお、ニコンFなどのカメラについては、メルマガIDNの34号・91号・93号の編集後記に書いている。 デジブック 《デジブック》は、雑誌・書籍の利点を取り入れた、デジタルならではのプラットフォームである。デジブック社では、《デジブック.net》とういうサイトによるWebサービスにより、写真・動画・イラスト・音声などを一つにした新たなエンターテイメントとして、すべての人々が出版する機会を得られることを目指している。 私は2011年にひとつの《ブック編》を制作した後、今回は《みんなのデジブック広場》を利用して、5つの《ムービースタイル編》を制作した。 龍のコンサート三昧-Ⅰ ~ミュンヘン・ライプツィッヒ・ベルリン・アムステルダム~ 2011年にデジブック社にお願いして、四谷ひろばのパソコン教室でデジブック講座を開催してもらった。その時、ヨーロッパの4つの都市へのコンサートツアーで、都市の景色やコンサートの様子を撮影した写真をもとにデジブックの《ブック編》をを制作した。この時には、ハードカバー付の上製本にしてもらった。このセミナーでIDNのメンバーが制作した作品を同年のシニアネットフォーラム21で展示してもらった。 《ブック編》で製本にするためには写真の枚数に制限があったので、今回は写真を追加して《ムービースタイル編》を制作した。使用した音楽はクラシックジャンルの《主よ人の望みの喜びよ》。 龍のコンサート三昧-Ⅱ ~ベルリンフィル ヴァルトビューネ・コンサート~ 2008年のベルリンフィルのコンサートは、コンサートホール《フィルハーモニー》がコンサートの予定日の直前に火事に見舞われ、演奏会場が野外コンサート会場として有名な《ヴァルトビューネ》に変更になった。 予想もしなかったコンサートを経験することになり、その時の様子を記録した写真をもとに《ムービースタイル編》を制作した。使用した音楽はクラシックジャンルの《サラバンド》。 イヌイット旅する版画 ~サイバーギャラリー イヌイット~ 《旅する版画:イヌイットの版画のはじまりと日本》が、2011年にカナダ大使館高円宮記念ギャラリーで開催された。カナダの北極圏の島にある小さな町ケープドーセットの版画工房で初期(1950年代後半から1960年代前半)に制作された作品と、この時期に日本がイヌイットの版画に与えた影響に焦点を当てて紹介する展覧会である。 初期から近年までのイヌイット版画49点が展示され、その中より私が気に入った15点と版画を制作するための道具などを紹介した。使用した音楽はクラシックジャンルの《カノン》。 ニューヨーク空中散歩 1982 ~マンハッタンを空から見る~ 1982年にニューヨークへ出張した時に、マンハッタンをヘリで遊覧した。この時撮影した写真は、私のホームページで紹介していたが、今回デジブックに作り直した。 ホームページで使った写真はサイズダウンしてあるので使うことが出来ない。2Lサイズの紙焼きが残っていたので、スキャンして、17インチのモニターで見たら、見るに堪えないほどではないのを確認して、数枚の写真を新たに焼き増してデジブックの素材とした。 このデジブックの制作においては、ヘリが飛んだコースで順に撮った写真を選択すればよかったが、各シーンの説明にはニューヨークのことを少しだけ勉強した。 30年前の写真にはワールド・トレード・センターも健在、懐かしいニューヨークをご覧いただきたい。なお、この時の写真はNikonFで撮影したものである。使用した音楽はデジブックの音楽からジャズジャンルの《ワンダフル》を採用した。 浅草寺の金龍の舞 『金龍の舞』は、観音様を象徴した蓮華珠を金龍が守護する舞と言われている。2007年から春と秋に数回浅草寺に足を運び、撮影した写真をもとにホームページを作って公開していた。 デジブックの《ムービースタイル編》を制作しようと考えたとき最初に思い浮かんだのは、『金龍の舞』だったが、今年の3月18日の『金龍の舞』を待つことにした。 ホームページで使用した写真はサイズダウンしてあるのでデジブックには使えない。私の写真のアーカイブスの中より写真を抜き出して整理し、描いたシナリオに対して不足しているシーンをリストアップして3月18日に臨んだ。 金龍の出発から終了までの写真のアングルは逆光の場合が多く、ほしい写真をそろえるには苦労が多い。なお、デジブックでは三代目と四代目の金龍が登場している。 『金龍の舞』の構成は以下のとおりである。金龍が傳法院の前庭に姿を現して出発を待つ。まず、仲見世通りを練り歩きながら雷門へ向かい、雷門の外へ出て舞のあと休息、一旦傳法院へもどり、記念撮影などを行う。(ここまでは午前中の部のみ) 再度、舞の舞台に向かって出発。仲見世通りを練り歩き、宝蔵門をくぐって境内に入り、境内で舞を奉納し本殿に上がる。本殿から舞の舞台へ移動。 観衆が取り囲んだ円形の広場で金龍の舞を奉納。舞を終え境内にもどり休憩、その後宝蔵門から仲見世通りへ出て、仲見世を練り歩きながら傳法院へ戻る。 制作においては、写真を映画でいうカットと考え、全体の流れを大切にして《編集し》した。また、ムソルグスキーの『展覧会の絵』において、絵と絵の間に挿入されている《プロムナード》の役割をシーンのつなぎとして取り入れるように試みた。 映像のフェードイン・フェードアウトに相当する写真の送りには、デジブックで標準装備されている《波紋》を、音楽は和風ジャンルの《舞花》を使用した。 金龍の舞の雰囲気を感じていただいて、是非浅草寺へ足を運んで金龍の舞を楽しむことをお勧めしたい。 エピローグ デジブックで標準装備されている音楽もいいものが多い。外付けのスピーカーを使用されていない方は、イヤホーンで聴いていただくと効果が増すと思う。 《ムービースタイル編》の6作目を何にしようか考慮中である。2004年の夏にピレネーへ花とロマネスク様式の教会を見に行った時の写真による『ピレネーのロマネスク教会』や『波の伊八の龍の彫刻』を候補に挙げているが、ゆっくりと時間をとる暇ができるか見通しが立たない現状である。 ここに紹介したデジブックはこちらよりご覧ください 編集後記集 |