謂れとかたち
熊野神社(部田)の神輿の龍の彫刻《波の伊八》

熊野神社
熊野神社は熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)の祭神を勧請された神社のこと
熊野三山の祭神を勧請した神社が全国に成立
熊野三山の祭神は、主祭神である熊野三所権現だけでなく、十二所権現をも含んでいる
熊野神社は、八幡神社・神明神社・稲荷神社と並んで全国的な分布を示している
三所権現を勧請する場合によるが、その数は三千余に達するという

熊野神社(部田)
以前は時宗の寺院だった西福寺の鎮守
西福寺の右にある鳥居をくぐった奥に祠がある
平成十四年の建立
石祠が祀られており「熊野権現」と刻まれている

西福寺の開祖一遍上人の関係から熊野神社を祀り、梛(なぎ)の木を神木とした
神木の高さ約15m、幹の直径80センチの大木。
「縁結び」や「夫婦円満」の木としてお守りにされる

神輿
神輿には、伊八の《波に龍》、《飛龍》そのほかが配されている

神輿は、いすみ郷土資料館に展示されている
神輿は初代伊八の73歳の作(伊八の享年は73歳)

部田 熊野神社 文政七年神輿再興ム値札銘文
天下泰平 文政七甲甲歳
奉再興造営熊野神輿一基産子安全五穀成就之所
国家安全 八月吉祥日  神主 金杉丹後
(この中に 彫工 武志伊八郎 とある)

【写真撮影:2012年2月24日】


熊野神社(部田) 神輿

熊野神社(部田) 神輿


《波に龍》と《飛龍》


《波に龍》と《飛龍》の詳細


《飛龍》


《飛龍》


《波に龍》ー1


《波に龍》 ー1


《波に龍》 ー2


《波に龍》 ー2



波の伊八
《波の伊八》は武志伊八郎信由という
1751(宝暦元)年に現在の千葉県鴨川市に生まれ、1824(文政7)年に没した宮彫師
房総南部を中心に、神社や寺院の欄間の彫刻などのすぐれた作品を多く残した
特に外房の荒海を象徴するかのような、「波」の浮き彫りが独得の作風とされ、《波の伊八》と称される
職人仲間では「関東に行ったら波を彫るな、彫ったら笑われる」と語られていたという
伊八の作品は
波のみならず、龍の彫りも実に巧み
房総を中心として多くの寺社に残っている

熊野神社(部田)住所:千葉県山武郡芝山町殿部田811
いすみ郷土資料館住所:千葉県いすみ市弥正93‐1
同上電話:0470-86-3708

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