龍の謂れとかたち
三柱神社社殿の向拝の龍の彫刻《波の伊八》
三柱神社
三柱神社は、養老3年(719)の創建と伝えられる
近世初期の様式が随所に見られる社殿
棟札の写しによると寛文10年(1670)の造営とされている
三社大明神、三所大明神ともよばれる
安房大神(天太玉命=あめのふとだまのみこと)
天比理刀当ス(あめのひりとめのみこと)
下立松原神(天日鷲命=あめのひわしのみこと)
を祀る神社
社殿は中世城郭である造海城跡(つくろみじょうあと)の山腹にある
本殿は覆堂の中に安置されている
構造は、身舎と向拝の屋根が一体となっている三間社流造で、屋根は柿葺とし、基壇は石造の亀腹
間取は身舎内が1間で、正面3か所に板扉を設け、他の周囲3面は板壁
前面および左右に切目縁を廻らし手すりをつけ、側面の縁の突き当りに脇障子をたてている
正面には5段の階段をつけ、その周囲に浜床を設置している
向拝には几帳面柱をたて、向拝中央には唐獅子、左右に鹿の本蟇股を付ける
身舎軸部は丸柱を用い、正面に鶴仙人、椿、ひよどり、ほてい、唐獅子
側面には鳳凰および孔雀の本蟇股を付けている
昭和48年に県指定有形文化財(建造物)
平成25日年10月の台風26号により発生した土砂崩れにより被災し、現在、修理計画を検討中
三柱神社 アプローチ
一の鳥居
二の鳥居に至る
社殿下
三柱神社社殿正面
向拝の龍の彫刻
三柱神社社殿の向拝に初代波の伊八の龍の彫刻がある
本殿は寛文10年(1670)の造営とされている
製作年代も同時期か?
向拝の構成
向拝の龍の正面
向拝の龍
向拝の龍の頭部
龍の三爪 |
龍の三爪 |
龍の彫刻の裏側
波の伊八
《波の伊八》は武志伊八郎信由という
1751(宝暦元)年に現在の千葉県鴨川市に生まれ、1824(文政7)年に没した宮彫師
房総南部を中心に、神社や寺院の欄間の彫刻などのすぐれた作品を多く残した
特に外房の荒海を象徴するかのような、「波」の浮き彫りが独得の作風とされ、《波の伊八》と称される
職人仲間では「関東に行ったら波を彫るな、彫ったら笑われる」と語られていたという
伊八の作品は
波のみならず、龍の彫りも実に巧み