謂れかたち

龍のかたちの特徴を示す三停九似説

中国で龍のイメージができあがったのは
後漢の王符による《九似説》と宋の羅願曾の《三停説》を合わせた《三停九似説》
に基づいているといわれる

三停
 《三停》とは龍のプロポーションについてを示す
首から腕の付け根、腕の付け根から腰、腰から尾までの三つの部分の長さがそれぞれ等しいことを意味している
これは、天上、海中、地底の三界に通じるとされる

九似
 《九似》とは、龍の九つの部位がそれぞれ他の動物に似ていることを言う
角は鹿、耳は牛、頭は駝(駱駝)、目は兎、鱗は鯉
爪は鷹、掌(たなごころ)は虎、腹は蜃(蛟:みずち)、項(うなじ)は蛇
に似ているということであり
龍を描く時にはこの《三停九似説》に則り描かれるという

龍のかたちの特徴
 龍のかたちには下記の特徴があると言われている
背中に81枚の鱗がある
口のそばに髯髭が生えている
喉の下に逆鱗(げきりん:逆さに生えた)鱗がある
声は銅盤(銅製のたらい)を打った時の音に似ている
顎の下に輝く珠がある
頭の上に山の形をした博山(はくさん 尺木(せきぼく)ともいう)がある

 三停九似説や龍の特徴は、人間の創造力のなせる技ではある
龍はあらゆる動物の祖であり、あらゆる動物の頂点に君臨するものとして
最高の瑞祥とあがめられている所以である



1.角は鹿
2.耳は牛
3.頭は駝(駱駝)
4.目は兎
5.鱗(うろこ)は鯉
6.爪は鷹
7.掌(たなごころ)は虎
8.腹は蜃(蛟:みずち)
9.項(うなじ)は蛇

【出展図版:『北斎漫画』(葛飾北斎) 江戸末期 15編/『本草綱目』(李時珍 撰) 1996初版より】
江戸東京博物館《歴史の中の龍》の展示パネルより作成


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