龍の謂れとかたち


謂れかたち

「龍神まつり」と「甲賀三郎伝説」


長野県御代田町 真楽寺の大沼池の『甲賀三郎伝説』を発展させた龍神まつりは、
昭和57年から始まり、毎年7月の最終土曜日に行なわれます。
龍神は、体長が45M、太い所の胴回り約3.3M、担ぎ手50人で日本一大きな龍と言われています。

 
【写真は長野県東京観光センターより提供】

甲賀三郎伝説
むかし、甲賀太郎、次郎、三郎の3人の兄弟がいた。
 末弟の三郎は頼もしい若者であったので兄たちより先に美しい妻を迎えて幸せに暮らしていた。
二人の兄は三郎を羨み、三郎の妻を横取りしようと企み、三郎を誘って蓼科山に登った。
紫煙のかすみに立ち昇る深い穴ほとりに三郎を導き、穴の底には宝物がいっぱいあると偽り、
三郎を籠に乗せ穴の中に降ろした。

二人は頃合いを見はからって綱を切ったので三郎は地底深く転落してしまった。
正気を取り戻した三郎は地下の世界をさまよい歩いた。
そして、地下のある家の娘の危難を救ったことが縁となって、その家の婿養子となり、
子どもまで生まれたが、地上の我が家が恋しくなって憂いに沈む日が続いた。 
妻が心配して事情を尋ねたところ、望郷の思いに苦悶していることを打ち明けた。
妻は別離を悲しんだが、夫の心情を察して旅装を整えた。
三郎は困難な旅を続けた末、ある日子どもたちの声を聞いて懐かしい地上へ頭を出した。
そこは浅間山の麓、真楽寺の大沼池のほとりであった。
池のほとりにいた人々の驚き、おののく様子に三郎は池の水に自分の姿を映してみて自分でも驚いた。
 いつの間にか自分の姿が龍になっているではないか。
 悲歎のあまりふるさとの妻の名を呼んだ。
すると、蓼科山の彼方の諏訪湖の方から妻の返事が返ってきた。
三郎の妻も三郎を探し求め、諏訪湖に身を投じて龍となっていたのである。
三郎は喜び勇んで諏訪湖に行き、妻とめぐり逢って湖の中で仲睦まじく暮らした。
 
【御代田町発行のパンフレットより】

060722/
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