龍の謂れ
かたち
龍が飛び出すしかけ絵本

しかけえほん『ドラゴンとモンスター』
ここに紹介するしかけえほんは、厚さ7.4cm
6つの全サイズ及び17のミニサイズ(ポケットページ)の飛び出すページで構成されている
ここでは龍(ドラゴン)を扱った、2つの全サイズ及び5のミニサイズを紹介する
西洋の恐ろしい蛇・東洋のドラゴンの威厳


しかけえほん『ドラゴンとモンスター』

作:マシュー・ラインハート&ロバート・サブダ
訳:おぎわらのりこ
レイアウト:荒川千絵
発行所:大日本絵画
発行日:2011年 第1刷
購入:メッゲンドルファー
    (鎌倉市由比ガ浜3-1-27  TEL:0467-22-0675)


表紙3面



しかけ絵本
本を開くと、各ページに折り畳まれた紙などからなる薄い構造物が挟まれており
ページを開くことでこれに描かれた絵が立体的にせり出し、飛び出すようになっている絵本のこと
「飛び出す絵本」とも言う
各ページは立体の構造物を支える必要から板紙ないし厚紙が利用され
また構造部分は折線が何度も繰返し曲げ伸ばしされることから曲げ伸ばしに強い紙が使われる
挟まれている構造物は蛇腹状に折り畳まれた状態で各ページに挟まれている
それを「ページを開く」という動作で左右に引っ張る過程で、面前にせり出してくる
動く絵本などのページの一部にあるつまみを操作することでページの一部が引っ張り出せたり
または袋状になった部分に空いた穴から下の絵がのぞいて見える範囲が移動するなど
他の仕掛け絵本の手法が併用されることもある
開くと飛び出す絵本、ひっぱったりめっくたりする絵本
舞台になる絵本、飾れる絵本、手紙のついている絵本・・・などなど
一口にしかけ絵本といっても色々な種類がある



西洋の恐ろしい蛇









ドラゴンは、文明が始まって以来、民話の中に登場してきました。
この虫類に似た野獣は、ヨーロッパの伝説ではふつう、コウモリのような翼をもち、黄金をため込み、口から火を吹き、美しい乙女を求めるモンスターとして描かれます。
ドラゴンという言葉、古代ギリシャ語の蛇を意味する言葉から生まれました。西洋では、最も邪悪なドラゴンをワームと呼ぶことがありますが、これは古ノルド語で蛇を意味する言葉から生まれました。











西洋の恐ろしい蛇  見開き


西洋の恐ろしい蛇  見開き(上部より見る)


西洋の恐ろしい蛇  ドラゴン


西洋の恐ろしい蛇  ドラゴンの頭部


西洋の恐ろしい蛇  ページを上部より見る


西洋の恐ろしい蛇  ページを正面より見る




西洋の恐ろしい蛇  ミニサイズ(ポケットページ)を含む全体を見る
ポケットページは左下に2つ、右下に1つある


恐ろしい飾り






他にも有名になったドラゴンがフランスに居ます。地元の漁師に水を吐きかけるので評判が悪かったのですが、とうとう最後はよく知られている建物のかざりとなりました。今、ガーゴイルと呼ばれている雨樋の吐き出し口です。







恐ろしい飾り  ガーゴイル



ベオウルフ









数えきれないくらいたくさんの文学や美術作品の中で、ドラゴンはおなじみの悪役で登場します。イギリスの歴史の中で、最も古い叙事詩のひとつ、ベオウルフでは、ヒーローの戦士が三頭の恐ろしいモンスターと戦います。血みどろの戦いの中で、まず人食い鬼のグレンデルをたおし、次に復習に燃えたグレンデルの母鬼をたおしました。しかし、ベオウルフも、火を吹く恐ろしいドラゴンとの戦いで、最後に命を落としました。











ベオウルフ


槍Vs牙










たぶんもっとも有名なドラゴン・キラーは、トルコ中央部出身で、もとはローマ軍団の騎士だった、カッパドキアのゲオルギオスです。この若い騎士が、今のリビアにあった王国を通り抜けたときのことです。あわやお腹をすかせたドラゴンのいけにえにされようとしているお姫様を見て、だまて見過ごすわけにはいかないと、このけがらわしい怪物をたちまち打ち取りました。この手柄は、石碑やガラスの器やキャンバスの上に、聖ゲオルギオスとドラゴンという画題で語り継がれています。












槍Vs牙 カッパドキアのゲオルギオス



東洋のドラゴンの威厳












東の国々では、ドラゴンは西洋と違って、伝統的に悪者ではありません。とても力強い生きものとして尊敬をあつめ、たびたび人間のために働いてくれます。中国の伝説によれば、4頭の魅力的なドラゴンの王はそれぞれ海を表し、雨雲の中の天国を旅します。龍と呼ばれるこの威厳に満ちた生きものは、しなやかに曲がる体に鷲のようなかぎ爪を持ち、ふさふさしたひげにぎらぎら輝く深紅の目をし、さらにあごの下に真珠がひとつ、ついていることがあります。

古い東洋の言い伝えでは、ドラゴンは色によって性格が違うといいます。金色のドラゴンは親切で賢く、黒いドラゴンは、嵐や復習をもたらします。四竜のひとつ、青竜のように、喜びに満ちた緑色をしたドラゴンは、東方を守護すると言われています。














東洋のドラゴンの威厳  見開き


東洋のドラゴンの威厳  見開き(上部より見る)


東洋のドラゴンの威厳  見開き(左上部より見る)


東洋のドラゴンの威厳  見開き(右より見る)


東洋のドラゴンの威厳  見開き(右上部より見る)


東洋のドラゴンの威厳  見開き(右より見る)


東洋のドラゴンの威厳  ミニサイズ(ポケットページ)を含む全体を見る
ポケットページは右上に2つある


新年に鳴りわたる音






中国人の正月では、見事な振り付けの舞踏団が複雑な龍の舞を踊ります。踊り手たちの棒に支えられて、飾り立てた大きな龍のあやつり人形が、逆まく川の流れのような人混みをぬってくねくねと進みます。








新年に鳴りわたる音


たくさんの頭









ロタンは、古代ギリシャの神話に登場するたくさんの頭を持つドラゴンです。九つの頭を持つレルネーのヒュドラ―のように、いくつもの頭を持つけだものという発想は、のちの時代の神話の特徴となっています。レルネーのヒュドラ―は、ギリシャ神話のヒーロー、ヘラクレスが12の難業の間にたおそうとした相手でした。九つの頭は、切り落としてもすぐに生えてくるので、切り取った首の断面を焼いてしまわないと、モンスターをたおすことが出来ませんでした。











たくさんの頭  レルネーのヒュドラ―


しかけ絵本の制作
飛び出す絵本の製作では、絵本作家が一人で作り上げる場合もあるが
こういった仕掛けを考案する専門のデザイナーもいる
作られた原稿は、一般の書籍と同様に印刷されるが、その後に仕掛け部分をプレス加工で打ち抜き
これを手作業の流れ作業で各ページに接着し組み立てするなど
独特の工程を経て製品として完成する。組み立て工程では
各ページ毎の担当者がおり、そこではベルトコンベアは利用されてず
各ページに取り付ける部品も手作業で組み立てられている

歴史
19世紀、飛び出す絵本しかけ絵本製作の主流はヨーロッパ
イギリスの出版社はいろいろな趣向を凝らした飛び出す絵本しかけ絵本を製作したそうです
また、ドイツでは高度な印刷技術(リトグラフ)で多色刷りの手の込んだ芸術的な美しい飛び出す絵本
しかけ絵本が多く作られたということです
1932年には、アメリカの出版社ブルーリボンブックス社が
本のページを開くと自然に絵が立ち上がるようにした「ポップ・アップ」ということばをつくりだしました


しかけ絵本の専門店「メッゲンドルファー」
メッゲンドルファーは、「しかけえほん」の専門店
鎌倉の大宮大路に店を構えて3年半、現在はこの地に店移って、6年半になるという
「小さなお子様はもちろん、赤ちゃんから、大人の方向けの ものまで約600種類のしかけ絵本がございます」と訴え
人気を博している

この店の主人は、かつて出版社で、しかけ絵本を担当していた
定年後のことを考えているときに、しかけ絵本の専門店がないことに気づき、開店に踏み切ったという
100年以上前につくられたドイツの美しい仕掛け絵本の復刻版から
『オズの魔法使い』、『星の王子さま』をはじめとした名作のポップアップ絵本など
ここでしか手に入らないものがたくさん
現在、お店にあるものの中で最も大規模なものは『タイタニック』とのこと
現在は、しかけえほんの工房を開設、しかけえほんの制作を指導している
近く、メッゲンドルファーの自主企画の作品を出版すべく準備が進めれれている模様

お店の名「メッゲンドルァー」は
19世紀ドイツの仕掛け絵本作家の巨匠、ローター・メッゲンドルファーにちなんでいる

 
しかけ絵本の専門店「メッゲンドルファー」


メッゲンドルファーの屋号


ショウウィンドウ


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