龍の謂れとかたち
カプセル型無人宇宙船《ドラゴン》
カプセル型無人宇宙船《ドラゴン》は2012年5月22日に打ち上げられ
宇宙ステーション(ISS)にドッキングし、5月31日の朝に役目をはたして地球に帰還した
ドラゴン
カプセル型無人宇宙船《ドラゴン》は日本の無人補給船《こうのとり(HTV)》と同等の補給能力を持つ
《こうのとり》は帰途には大気圏に突入して燃え尽きる
《ドラゴン》は、大気圏突入時にカプセルは燃え尽きないで最大3トンの実験試料や荷物を持ち帰ることができる
細くなった先端の完全回収型カプセル部の大きさは、高さ2.9m、底面直径3.6mである
カプセル型無人宇宙船《ドラゴン》 カプセルの高さ2.9m 底面直径3.6m
スペースX社の宇宙船は《ドラゴン》と名付けられた
SpaceX社の創設者イーロン・マスク氏が Peter, Paul and Mary の『Puff the Magic Dragon』に因んで名付けた
彼はその理由を
「2002年にSpaceX社を設立した時に、あなたの宇宙への思いはfantasticalです、と言われたから」と語った
マスク氏は、宇宙への取り組みを、ファンタジーの域を出ないと言われて
魔法の龍と命名(半ばジョーク?)したとのこと
私は、善い《龍》はパワフルなものの象徴であり
難関を乗り越えて目的を達成するものだと期待を込めて命名したのではないかと思う
スペースX社
米政府は、スペースシャトルが引退後の物資輸送を民間企業に移管し
ISSへの物資輸送・宇宙輸送の商業化を目指す戦略に変更した
米航宇宙局(NASA)はさらに高度な火星探索などに注力する
スペースX社は、創業10年目の米国のベンチャー企業
マスク氏がインターネットの会社で稼いだお金で設立したと言われ
CEOのマスク氏は40歳、社員の平均年齢は30歳と若い
独自に宇宙船を開発、ファルコン9ロケットも含め、設計から製造までスペースX社が行った
スペースX社は、2006年に《ドラゴン》の提案で20社が参加した、商業輸送船のコンペを勝ち抜いた
2012年5月に、《ドラゴン》の打ち上げに成功
宇宙ステーション(ISS)にドッキングし、無事に帰還
一連のテストやデモンストレーションを実施し目的を達した
米政府の地球低軌道への飛行士の輸送にも民間企業の力を活用する方針に沿って
《ドラゴン》は早ければ3年後に有人宇宙飛行を実現することを目指している
打ち上げ
《ドラゴン》は、フロリダ州のケープカナベラル空軍基地より5月22日に、ファルコン9ロケットで打ち上げられた
打ち上げ ファルコン9ロケットから切り離す
宇宙ステーション(ISS)とのドッキング
GPSやレーザーでISSとの距離を測定し、衝突の危険がないかを確認しながら徐々接近
距離10メートルでISSのロボットアームが捕捉し
2時間後の26日未明にISSのHarmony モジュールの地球方向を向いたポートに結合されドッキングに成功
26日には、ISSの船長ら2人がドラゴンのハッチを開いて乗り込んだ
約521キロの科学実験資材・食糧・水などの物資を降ろし
代わりに、廃棄物や地球に持ち帰る物資を積み込んだ
ロボットアームにより《ドラゴン》をISSにドッキング
ISSのHarmony モジュールのポートに結合される
ポートの右側の円筒がが日本の有人実験施設《きぼう》
地球への帰還
帰還作業の開始から着水までは約6時間の工程だった
まずドラゴンとISSとの結合をロボットアームで解除し放出、地球軌道に入った
約5時間後、小型ロケットエンジン《ドラコ》が約10分間燃焼し
軌道から外れて地球に落下できるスピードまで、時速320キロほど減速した
数分後、ソーラーパネルを含む円柱状のトランク部分(廃棄物を搭載しており、大気中で燃え尽きる)を分離し
3つのパラシュートを開いて正常に降下し
米東部時間31日午前11時42分に
メキシコのバハ・カリフォルニア西方数百キロの太平洋上に無事着水
約660キログラムの物資を持ち帰った
大気圏に突入
3つのパラシュートにより着水する
【SpaceX社のサイトよりダウンロード用の写真を使用した】
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メルマガIDN編集後記『カプセル型無人宇宙船《ドラゴン》の快挙へ
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