龍の謂れとかたち
14世紀シエナ派の絵《聖ミカエルと龍》(国立西洋美術館蔵)
国立西洋美術館の2階に《聖ミカエルと龍》の絵がある
聖ミカエルが龍(ドラゴン)を退治する、典型的な絵のひとつである
構図がよく似通っている絵をベルリンのポツダムひろばにある《絵画ギャラリー》で見た
バルトロメオ・ヴィヴァリーニ作の絵へ
国立西洋美術館の常設展では、三脚とストロボを使わなければ写真撮影が許可される
聖ミカエルと龍(2Fの常設展) 14世紀シエナ派 テンペラ 板 Sienese School 14th century St.Michael and Dragon Tempera on panel 寸法:40.5cm x 19cm 所蔵番号:P.1968-0003 |
聖ミカエル |
ドラゴンの拡大 |
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作品解説 龍と闘う騎士の像は聖ゲオルギウスとも考えられるが、この作品の騎士は天使のように翼を持っており、馬に跨っていないので、大天使聖ミカエルとする方が正しいであろう。 天で戦争があったとき、ミカエルが龍と闘い地上に落下させたという黙示録(第12章7-9節)に基づく場面である。しかし龍退治に関するこの二つの主題はしばしば混同され、ここでもミカエルは地上で怪物を退治している。 金地を背景に天使が楯を左手に持ち、右手を振り上げて龍を槍で刺し貫いているところである。赤、白、黄、緑青色の強い色彩の対照が美しく、また顔には緑などの微妙なニュアンスが施されていて、 14世紀シエナ派の装飾的でしかも叙情的な作風を充分に窺わせる。 本作品はフィレンツェのローザー・コレクション旧蔵で、同コレクションではロレンツェッティに帰されていた。しかしエヴェレット・フェイおよびフェデリコ・デーリは、本作品をいわゆる「パルナ」(サン・ジミニャーノ僧院の新約伝壁画を描いた逸名画家)の作としている。また近年では、作者をアヴィニョンにおけるシモーネ・マルティーニ追随者「反逆天使の画家」であるとする説、ニッコロ・ディ・セル・ソッツォ周辺の画家であるとする説も出されており、作者の確定は今後の研究をまつ。 (出典:国立西洋美術館名作選 国立西洋美術館 1998/4/27) |
国立西洋美術館 正面(小雨の日) |
国立西洋美術館 鳥瞰(昭和34年当時) 世界遺産登録の看板より |