龍の謂れとかたち


謂れかたち

自在龍置物(東京国立博物館)

自在置物(じざいおきもの)
自在置物は、鉄や銅、銀、銀と銅の合金である四分一(しぶいち)などの金属を用い動物を写実的に作った美術工芸品
龍、蛇、鳥、魚、伊勢海老、海老、蟹、昆虫(クワガタや トンボ、蝶)などの手足などを実際に動かすことのできる機能までを追求
龍は胴をくねくねと動かすことができ、脚や爪も曲げたり、伸ばしたりすることが可能
鳥は翼の開閉、頸をまわすことができる
自在置物は写実から可動にまで進んだ特殊な金工品として注目される
江戸時代の大名などが、眺めて触って楽しんだ

自在置物が制作されたのは江戸時代中期ころから
世の中が太平になり、甲冑師などは、甲冑などの需要が減り
生計を立てるため、鍔、火箸などや、打ち出し技術を生かした自在置物の様な細工ものを作った


自在置物


自在龍置物
年号が記された現存作では
東京国立博物館蔵の正徳3年(1713年)の銘がある明珍宗察(みょうちん むねあき)の龍がもっとも古い
龍では最大で出来栄え優れている
明珍は甲冑師の家の出身で、とくに鉄の鍛錬と打出技術に長じていた
江戸時代中期の平和な時代にこうした置物の製作を行った

この数年海外の展覧会へ出張していた龍が東京へ戻ってきた
【2011年1月13日撮影】


自在龍置物 明珍宗察の作  正徳3年(1713年)


自在龍置物の頭部(1)


自在龍置物の頭部(2)


自在龍置物の頭部(3)


自在龍置物の前足

自在龍置物の後足


銘のあるもの
明珍宗安作(宝暦3年(1753)の蝶)、明珍式部作、里見重義作、明珍作、宗義作、
明珍吉久作、明珍宗清作、高瀬好山作、明珍清春作、板尾新次郎作、宗義作、宗好作、佐好作、冨木宗行作
などの作品がある

海外へ流出
自在置物は、幕末から、多くが欧米への輸出により流出した
明治から昭和にかけては輸出を目的とした色金を多用した昆虫も多く作られた


大英博物館の鉄自在龍置物
British Museum - Articulated model dragon, signed by Myochin Kiyoharu
明珍清春作のものであり、鉄自在龍置物 (てつじざいりゅうおきもの)と同じく類品


大英博物館の鉄自在龍置物  明珍清春の作



自在蛇置物

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