龍の謂れとかたち
能装束:厚板 紅緑段雲矢襖鱗模様 東京国立博物館

三角模様の鱗(うろこ)紋は龍を象徴する文様
三角模様の鱗紋は魚のウロコを紋章にしたものであり
水神のシンボルとして蛇や龍の鱗とされ、龍を象徴する文様
鱗模様は、厄を落とし再生するという意味があり、江戸時代には厄除けの文様とされた

能装束
能における神々の系譜では翁の他、龍神・別雷神といった荒々しい神が登場する
荒々しい神の役の着付けの「厚板」には
幾何学的な力強い鱗型の地紋、火炎太鼓、雲、矢襖など、霊力を表す模様が描かれる
「厚板」とは、もともとは厚い板に巻かれて輸入された中国産の織物の名称


厚板 紅緑段雲矢襖鱗模様


厚板 紅緑段雲矢襖鱗模様


鱗型の地紋、火炎太鼓、雲、矢襖


鱗型の地紋、火炎太鼓、雲、矢襖


三角形文様考 神事「平瀬マンカイ」と衣装
2018年8月5日放送(再放送)の日曜美術館で三角形について話題になった
【写真とコメントは「出かけよう 日美旅(第64回)よりお借りしました】

神事「平瀬マンカイ」 奄美大島
しめ縄を張った大きな岩の上でノロが一列に座って祈りをささげる
ノロ:神に祈りをささげる女性の司祭(5人)


夕方から行われる「平瀬マンカイ」
しめ縄を張った岩にノロ役が昇って豊作を祈っているところ


ノロの神事の時の衣装
初めてノロの神事に参加する少女が着ていたものではないか
着物は三角形の布がパッチワークのように組み合わされている
三角形は蝶や蛾を表しているという
蛾には、ご先祖さまの魂を乗せてくるという言い伝えもある
つまり三角形は霊を表す
一方で、三角形は着ている者の身を守る意味も込められている
精霊や霊魂に連れていかれないように
霊力の弱い可能性のある少女を厳重に守る


ノロの神事にまつわるとされる江戸時代の着物
三角のパッチワークのようになっている
【宇検生涯学習センター元気の出る館・蔵】



考察
三角模様の鱗紋は魚のウロコを紋章にしたもの
水神のシンボルとして蛇や龍の鱗とされ、龍を象徴する文様

三角形は蝶や蛾を表している
蛾はご先祖さまの魂を乗せてくる

ということで
三角形の発生に差があるが
厄除け、身を守るという共通点がある

鱗模様は、蛇や蝶を連想して、脱皮を表し、厄を落とし再生するとの意味がある
という記述も見受けられた

180515/180805
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