謂れとかたち
鏝絵の龍 柳森神社の神楽殿鯉の滝登り

柳森神社
またの名を柳森稲荷神社といいう
日本橋の椙森神社・新橋の烏森神社と共に江戸三森の一社と呼ばれる
主祭神は倉稲魂大神(くらいなたまのおおかみ)

室町時代の長禄元年(1457)、太田道灌が江戸城を築城
その際に江戸城東北方面の鬼門除けにと、神田川土手に植えた柳が繁茂
これが名前の由来
ここに鎮守として京都の伏見稲荷大社を勧請して創建したとされる
当時は神田川の対岸にあったが、万治2年(1659)の築堤の際に対岸の現在地に奉遷される
【2024年8月 撮影】


入口の鳥居


拝殿

登龍門の鏝絵
鏝絵(こて絵)は漆喰を使った左官の装飾技術
漆喰で形づくったところに色をつけていく昔からの日本の伝統的な技法
立体的な絵となっているのでみる角度によっては陰影の濃さが変わり違った趣を楽しめる

道路側から神楽殿の横を見ると登竜門の鯉の鏝絵がある
入江長八の弟子の吉田亀五郎の弟子の池戸庄次郎の作とされる
池戸庄次郎の作風は決め込みが多いのが特徴
作品の隅に「思楽」の落款が見える

登竜門 「鯉の滝登り」
中国の黄河の中流に、「竜門」と呼ばれる急流がある
竜門は夏(か)王朝の始祖である禹(う)王が治水工事をした場所
「後漢書」李膺(りよう)伝の故事による
竜門の流れはとても激しく急なため、その流れをさかのぼって上流にいくことのできる魚は非常に少ないことから
「竜門をこえることのできた鯉は竜になる」という言い伝えがある
「竜門のような難しい関門を突破すること」という意味


神楽殿  側面


登竜門の鏝絵  池戸庄次郎の作とされる


龍の鏝絵


鯉の頭部 


左下にある「思楽」の落款

湯島天神の登竜門の鯉


湯島天神の「登竜門」の蟇股 外部より見る 左が鯉


「登竜門」の鯉のレリーフ

湯島天神の登竜門

柳森神社
住所:東京都千代田区神田須田町2-25-1
240818

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