江西(カンソ)大墓古墳 入口正面
【展覧会場の展示パネルより】
江西(カンソ)大墓古墳の四神図
江西大墓壁画は高句麗古墳群の中でも最晩年のものと考えられており
朝鮮半島の「四神図」壁画の中で最高峰に位置づけられる
壁画の表現は非常にのびやかで、力強い筆遣いで描かれ、華麗な彩色効果が美しい
描かれた「四神図」は、最高の力量を持った絵師たちが担当していたと思われる
玄室は、横穴式石室の主要部分で、棺を納める室であり、外部とは羨道で連絡する
玄室の四つの壁と天井は、磨き上げられた上質の花崗岩の板石で築造されており
そこに四神図と装飾文様などが直接描かれている
そのため取り外して保管できず、湿気でカビてしまうなど劣化が進んでいるという
芸大の取り組み:四神が躍動感あふれる姿でよみがえる
東京藝術大学は、劣化が進行しつつある、或いは永遠に失われてしまった文化財の本来の姿を現代に甦らせ
未来に継承していくための試みとして、文化財をクローンとして復元する特許技術(2010年に取得)を開発した
デジタル撮影や最新の印刷技術に画家と職人の技があわさって、従来にない原寸大での再現が可能になった
<復元>
東京芸大の宮廻正明教授らは、2011年6月から「四神図」の複製に着手
これまでに描かれた模写を参考にしながら
故平山郁夫前学長が高句麗会から譲り受けた1980年代に壁画を撮影した(約30年前)に写真のポジフィルムをもとに
2006年に実施した調査の際に撮影した写真を用いて、デジタル処理をして鮮明な画像に
それを基に原寸大に拡大カラー印刷した上で
さらに細部を壁画と同じ顔料(朱、鉛城、黄土)で手書き彩色して実質4カ月で仕上げた
壁画の印刷用紙は、粉末状にした花こう岩を白色顔料と混ぜて下地としている
質感だけでなく、触ると花こう岩の手触りを味わえる
四神に囲まれた原寸大の内部を体験
壁画本来の形態を復元させる過程とデジタル彩色作業を経て、江西大墓壁画は元の姿を取り戻し
今再び絢爛な姿をあらわした
再現された江西大墓内で原寸大の壁画を内部体験できる
南面に開口があり、正面が玄武、右(東面)に青龍、左(西面)に白虎を見る
内部に入って振り返る南面には、開口部の両側に朱雀を見る
青龍
スピードが感じられる対角線の構図と青龍の力強さを見せ付ける筆遣いは
青龍壁画の中でも最高傑作といわれるに値するもの
体をくねらせ舞い上がる竜の姿が描かれている

東面 青龍