サイバーギャラリー:江戸東京博物館の龍 2012

江戸東京博物館で2011年から2012年に開催された「歴史の中の龍での展示品を紹介しています
【更新日:121213~121230】

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第一章 十二支の中の龍
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 現代において「十二支」といえば、「干支(えと)の動物」を連想しますが、古くは方角や時刻を示し、さらに「十干(じっかん)」と組み合わせて年だけでなく、月・日を表すのにも用いられました。
 そもそも「十干」「十二支」の数え方は中国で発生し、日本でなじみの十二種の動物も、中国で考えられた禽獣名に対応しています。しかし、日本では、「丙午」「辛酉」の年や「甲子」「庚申」の日のように、迷信と結びついて特別な意味づけがされたり、江戸の「辰巳」=深川のように、方角と地名とが結びついて常用されたりと、独自の慣習や認識も生まれました。
第二章 龍の力
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 龍は、中国では「鱗虫(りんちゅう)の長」とされ、日本でも蛇や魚に近い種として考えられていました。また、西洋のドラゴンが悪魔のイメージをともなうのに対し、東洋の龍は、空中を飛行し、雨や稲妻を自在に起こす霊力を持った存在として崇拝され、神や高貴な者の象徴ともされました。
 龍をモチーフにした武具や火事装束には、緊迫した場面で龍の力にあやかりたい、と願う人々の思いが込められています。
第三章 粋な龍
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 特別な場面で使われるものにだけでなく、日常使いのものにも龍の意匠は用いられました。江戸時代には、たばこ入れや印籠、櫛、笄(こうがい)など、男女を問わず、様々な装飾品に龍の意匠は使われています。現代でも龍の意匠は人気がありますが、粋でお洒落、そして何より強さを感じさせるところが、魅力となっているのでしょう。
【会場の説明パネルより】


 
 展覧会の主旨・展示風景   
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」
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第一章 十二支の中の龍   TOPへ
 七福神宝船の図 121219
 龍の頭の舳先がついた宝船に、七福神が乗ってやってくるという縁起物の絵
 江戸では初夢用として、正月二日の宵にこのような絵が売り歩かれた
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-01
 十二支見立て職人づくし 121213
 十二支を江戸の職人に扮した十二禽獣に見立てている
 辰には藍玉づくりの「玉師」となった龍があてられている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-02
 和時計 121219
 江戸時代は、日出-日没を昼六時、日没-日出を夜六時に分ける不定時法をとっていた
 季節により変動する一時の長さを重りによって時間を調整する和時計が作られた
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-03
 見立十二支 辰 深川八幡富士 121228
 江戸から見て辰巳の方角に位置する深川にちなんだ辰を描いた見立て絵
 麦藁細工の蛇(巳)を持った辰巳芸者と永代寺の庭につくられた富士塚が描かれている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-04
 神田明神祭礼図巻 121224
 寛政の改革で縮小される以前の祭礼の様子を描いている
 通新石町(現千代田区内神田3丁目、鍛冶町2丁目)は十二支の行列を行う
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-06
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 訓蒙図彙 龍魚・蟲介 121225
 江戸時代の図解百科事典。社会生活、動植物など自然界の事物に多くのページを割いている
 全20巻からなり、龍属は魚類と同じ巻14におさめられている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-07
 北斎漫画 二編 121225
 葛飾北斎による絵手本を集めた『北斎漫画』は様々なものを画題としている
 「龍」、「応竜(おうりょう)」、「だ龍」、「雨龍(あまりょう)」が描き分けられている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-08
 北斎漫画 四編 121225
 葛飾北斎による絵手本を集めた『北斎漫画』の第四編
 四編の中の「十二支」のページに辰が描かれている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-08
 楽屋十二支 辰 雪姫 121220
 歌舞伎「祇園祭礼信仰記」四段目「金閣寺」を描く。雪姫は絵師・雪舟の孫
 父の敵松永大膳が刀を抜いて滝に向かうと龍が現れ、敵と知る
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-09
 浦島太郎竜宮羶鉢樹 121225
 「浦島太郎」を題材とした黄表紙
 龍宮城の主である8代龍王は、娘の乙姫に婿取りをしようとするが、乙姫は浦島太郎のもとに出奔
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-10
 応龍文 磁器染付皿 121224
 見込(みこみ)に翼がある龍「応龍」が、口縁(こうえん)には青海波が描かれている
 中国では応龍は黄帝(中国の伝説上の五帝の一人)に仕えた龍とも言われている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-13
 白紺糸威鎧 121214
 兜に不動明王の化身である「倶利伽羅竜王」の前立てがついている
 実用から離れ、装飾性に富んだ意匠となっているが、武家の威厳をたたえた作
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-14
 弽(ゆがけ) 121228
 弓を弾く際に用いる鹿革製の手袋
 青龍、白虎、玄武、朱雀の四神に麒麟を加えた五種の想像上の生きものが描かれている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品ー15
 武具訓蒙図彙 巻一・二 121228
 様々な武具を絵図で表した図鑑
 龍の意匠は、兜、前立て、瓦袖(かわらそで)などに見られる
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-16
 武家火事装束 女子用立烏帽子形火事頭巾 121214
 緋色の羅紗地に金糸で龍の刺繍が施された女子用の火事装束
 大名火消では、女子も烏帽子形の頭巾などを着用して邸内の防火や避難にあたった
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-17
 刺子半纏 121220
 袷の木綿地に糸で細かく刺子を施した火消半纏。吸水性と保水性に優れている
 裏側には「龍虎相搏つ」の言葉を想起させる猛々しい意匠がほどこされている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-18
 江戸の花子供遊びのうち一番よ組 121230
 江戸時代の消火作業は非常に危険をともなういわば決死の行動であった
 そこで火消したちは水にちなんだ模様や意匠をまとい、吉運と安全を願った
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-19
 臥煙もの 四世市村家橘 121230
 明暦の大火の反省により、幕府は直轄の消防隊として定火消を設けた
 臥煙はこの定火消に属する火消人足のこと
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-20
 龍吐水 121220
 龍が水を吐くように見えたことから命名された消火器財
 消化能力はあまりなく、纏や刺子半纏に水をかけて濡らすのに用いられた
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-21
 タツノオトシゴ 121228
 タツノオトシゴ(龍の落とし子)はヨウジウオ科の固骨魚
 日本ではその姿形からリュウノコマ、タツノコなどの別称でも呼ばれる
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-25
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 筒型龍文一つ提げたばこ入れ 121221
 色革を縫い合わせた煙草入れ
 銀と真鍮で造られた緒締(おじめ)、六角形の根付にも龍文が入れられている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-26
 龍紋刺繍一つ提げたばこ入れ 121213/121222
 生地全面に龍の刺繍がほどこされ、糸を重ねることにより豪華さと丈夫さも出ている
 前金具にも真鍮金塗で龍があしらわれている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-27
 相良刺繍龍文腰差したばこ入れ 121222
 布の裏から糸を抜き出して結び玉をつくり、これを連ねて模様を描いていく技法をいう
 美しいだけでなく、糸を縫い重ねるため強度も出る
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-28
 富士に龍縫いつぶし一つ提げたばこ入れ 121221
 相良刺繍の縫いつぶしで富士山と龍、雲海がほどこされている
 かぶせ下には富士五胡のひとつか湖が表されている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-29
 夕顔雲龍とんこつ 一つ提げたばこ入れ 121227
 紫檀製の叺(かます)に龍が彫られている
 裏面には夕顔と蟷螂がほどこされている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-30
 龍虎蒔絵彫印籠 121227
 印籠は薬を入れるための容器
 腰からぶら下げる贅沢な飾りものとして、江戸時代後期に武士の間に普及し
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-31
 龍図彫金矢立 121227
 矢立は携帯用の筆記用具 筆筒と墨壺をつなげた柄杓型をしている
 白銅製で墨壺部分に横向きの龍が描かれている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-32
 赤羅紗登龍文刺繍筥迫 121219
 筥迫は女性が懐に挟んで持つ装身具
 羊毛糸を平織にして起毛させた赤い羅紗の生地に金糸で龍と富士山が刺繍されている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-33
 黒鼈甲台雲竜文櫛 121219
 櫛の前面を使って、雲間に珠を持った龍が描かれている
 雲に乗って昇天する龍を意匠化した模様は吉祥模様として工芸全般に見られる
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-34
 漆塗龍模様付櫛・笄 121219
 櫛と笄のセット。櫛には2頭の龍が描かれている
 そのうち右側の龍は珠を持っている。龍自体も全身で円を作った姿勢をしている
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-35
 長板中形型紙 宝づくしに龍文 121221
 浴衣を模様染めするための型紙。紺地に白い模様を染めている
 中型染めは木綿に藍染、糊防染を組み合わせた江戸時代以来の染めの技法
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-36
 長襦袢 121230
 雲竜、松に鶴、鳳凰など吉祥模様がならぶ女性用の長襦袢
 龍と鳳凰は、麒麟や亀とともに古来中国で四瑞として尊ばれた
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 展示品-38
 字凧「龍」 121230
 籠字で「龍」を書いた角凧
 正月に凧を揚げるのは江戸の風習でやぶ入りの1月15日、16日がとくに盛んだった
 【写真をクリックすると拡大します】 江戸東京博物館「歴史の中の龍」 参考出品-39

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